01企業の水害対策は「止める・逃がす・続ける・戻す」の4層で選ぶ
水害は、地震と違って前日から数時間前に「来る」と分かる災害です。準備の差がそのまま被害額の差になるのはそのため。グッズ選びで迷う一番の原因は、目的の違う道具を同じリストで比べてしまうことにあります。まずは次の4層に分けて、抜けている層がないかを確認してください。
| 層 | 目的 | 主なグッズ | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 止める | 入口・シャッターからの浸水を遅らせる | ★★★ | |
| 逃がす | 人・書類・データを安全な場所へ移す | ★★★ | |
| 続ける | 停電・断水中も最低限の業務と生活を保つ | ★★ | |
| 戻す | 水が引いた後の泥出し・片付け | ★★ |
優先度は、浸水想定区域にある事業所を前提にした編集部の目安です。区域の外でも、下水があふれる内水氾濫(次章)は起こります。「止める」と「続ける」は最低限そろえておきましょう。
POINT止水グッズは「浸水ゼロ」の道具ではない
東京都都市整備局の「止水板設置事例集」では、止水板の性能を1時間・1㎡あたりの漏水量で等級分けしています。工事をした固定式でも、少しは漏れる前提。置くだけタイプならなおさらで、排水用のゴムブラシや吸水土のう、重要品を上げる段取りとセットで考えるのが現実的です。
02自社の浸水リスクを10分で把握する(外水・内水・地下)
何をどれだけ買うかは、事業所ごとの「想定浸水深」と「入口の数・幅」で決まります。次の3ステップで、稟議書に書ける根拠をそろえましょう。
- 1想定浸水深を調べる国土交通省のハザードマップポータルサイトで事業所の住所を入れ、洪水・内水・高潮の想定浸水深を確認。複数の想定があるときは深いほうを採用します。
- 2入口を数えて、幅と地面を測る正面入口、通用口、シャッター、搬入口、地下への階段。幅のほか、段差・勾配・グレーチング・タイルの目地といった地面の状態もメモしておきます。
- 3地下・半地下を洗い出す電気室、地下駐車場、半地下の倉庫。ここは止水板より先に、人を上げるタイミングを決めておく場所です。
浸水には、川の水があふれる「外水氾濫」と、下水や側溝が雨を処理しきれずに街中が水につかる「内水氾濫」があります。内水氾濫は川から離れた事業所でも発生。国土交通省の地下空間の浸水対策ガイドラインは、内水氾濫時に水位が毎分20mm上がる想定を置いています。10分で20cm。気づいてから土のうを作り始めても、まず間に合いません。
浸水深ごとに「起きること」の目安
- 20cm:小学校高学年の子どもは避難が難しくなるというデータがある水深
- 30cm:車のエンジンが止まり走れなくなる目安。地下空間では行動限界の水深
- 50cm:流れがあれば徒歩での避難は不可能
- 70cm:伊勢湾台風の調査で、大人が避難できた水深の上限の目安
| 想定浸水深 | 考えるべきこと | 対策の主役 | 該当グッズ |
|---|---|---|---|
| 〜10cm | 低い入口・排水口からの浸入、下水の逆流 | 水のう・吸水土のう | |
| 10〜30cm | 車の移動は30cmに達する前に。地下は退避を開始 | 置くだけ止水板の連結+土のう | |
| 30〜50cm | 床上浸水レベル。徒歩での避難は早めに | 堰き止め高50cm級の止水板+土のう2〜3段 | |
| 50cm超 | 1階の設備・在庫は水没する前提で計画 | 止水は時間稼ぎ。上階退避・重要品の移動・電源の確保 |
地下・半地下がある事業所へ
国土交通省は、地下空間の廊下や居室を避難するときの行動限界水深を30cmとしています。歩きにくさに加え、水圧でドアが開かなくなる水深から決められた数字です。地下の電気室や倉庫は「入口に土のうを積む前に、人を上げる」順番を社内ルールに書いておいてください。
03止水板の選び方:工事不要タイプは「止水高・入口幅・地面」で決まる
止水板には、壁や床に支柱・レールを取り付ける固定式と、置くだけ・組むだけで使える工事不要タイプがあります。東京都都市整備局の止水板設置事例集(2026年7月)を見ると、施工費込みで店舗出入口(幅1,400×高さ550mm)が約18万円、工場出入口のシャッター内側(幅11,000×高さ550mm)が約120万円。性能は高いものの、工事と予算の確保が前提です。
台風シーズンの途中から備えるなら、倉庫に保管しておき前日に並べられる工事不要タイプが現実的な選択肢。ここではその比較に絞ります。
止水性能の物差し「JISの漏水量等級」
| 等級 | 1時間・1㎡あたりの漏水量 | 使用場所の目安 |
|---|---|---|
| Ws-6相当 | 1L以下 | 電気室・ポンプ室など、できる限り浸水を防ぎたい場所 |
| Ws-3相当 | 10〜20L | 機械室・一般家屋など。最も一般的な性能 |
| Ws-1相当 | 50〜200L | 倉庫・駐車場など多少の浸水を許容できる場所。一般的な土のうよりは高性能 |
出典:東京都都市整備局「止水板設置事例集」(2026年7月)。Ws-2・4・5相当は省略。
置くだけタイプの多くは、この等級を表示していません。「完全に止める」のではなく、流入量を減らし、ゴムブラシや汲み出しで追いつける量に抑える道具と位置づけて選ぶと、期待外れになりません。
選ぶときの3つのチェック
① 止水高
想定浸水深に対して余裕がある高さか。今回の比較ではBW52の堰き止め高50cmが最も高い公表値。
② 入口幅と連結
入口幅を1枚あたりの有効幅で割り、端数は切り上げ。壁際や角は専用パーツで処理する。
③ 地面
凹凸があると止水効果が下がる可能性をメーカーも明記。グレーチングや深い目地の上は土のうで補う。
工事不要の止水板 9製品の比較
| 製品 | タイプ | 止水高・サイズ | 重さ | 向く場所 |
|---|---|---|---|---|
ボックスウォールBW52 | 箱型(水圧で固定) | 堰き止め高50cm/980×680×530mm | 6.2kg/個 | 工場・倉庫の大開口、シャッター前 |
BW52用サイドアタッチメント | BW52の端部パーツ | 商品ページで確認 | — | BW52と壁の取り合い |
アイリス止水板 ストレート | 置くだけ・連結式 | 本体 705×680×615mm | 4.4kg | 店舗・事務所の入口 |
アイリス止水板 内カーブ | 連結用カーブ | 本体 620×680×615mm | 3.2kg | 入隅・L字の囲い |
アイリス止水板 外カーブ | 連結用カーブ | 本体 760×680×615mm | 3.2kg | 出隅・建物の角 |
プラバリア 1.6m分 | パネル連結式 | 1.6m分セット | 1枚約4kg | 自動ドア前・通用口 |
備えあれ板 3枚 | 折り畳みL型 | 高さ約50cm(コンパクト版は25cm) | 商品ページで確認 | 初期の軽度な浸水、水の誘導 |
備えあれ板 コーナー | 角用パーツ | 出隅120°・入隅135°まで | — | 備えあれ板の角処理 |
UACJ 水用心 MZTR001 | アルミ・脱着式 | 商品ページで確認 | 商品ページで確認 | 位置が決まった入口 |
GC-select大開口・シャッター前の第一候補
ボックスウォール BW52 止水板
980×680×530mm/6.2kg/個
本体に乗る水の圧力で固定する箱型。堰き止め高50cm、1個で幅980mmをカバー(メーカー公表)。2名で10mを約2分で並べられる設計。
GC-selectで価格・在庫を見る →計算例:幅3.6mのシャッター前をBW52でふさぐ
- ・必要数:3.6m ÷ 0.98m(1個あたりのカバー幅)= 3.67 → 4個
- ・壁際の処理:サイドアタッチメントを追加
- ・破損に備えた予備1個を含めて、本体は計5個
- ・設置時間:2名で10mを約2分(メーカー公表)の目安なら、4m弱は1分かからない計算
GC-select【アイリスオーヤマ】止水板 ストレートタイプ
本体 705×680×615mm/4.4kg
ABS樹脂の本体にEPDMスポンジを組み合わせた連結式。タイプを問わずつなげられ、入口幅に合わせて枚数を増減できる。
価格・在庫を見る →
GC-select止水板 プラバリア 1.6m分セット
1.6m分セット
積水化学グループの止水板。1枚約4kgで、連結パーツに差し込み固定キャップを締める構造(メーカー発表)。1.6m分のセット。
価格・在庫を見る →
楽天市場ワニ印 水害防止パネル 備えあれ板 3枚(004954)
3枚入/高さ約50cm(コンパクト版は25cm)
冠水した水の重みで安定するL型パネル。初期の軽度な浸水向けで、強風時は重しやロープで固定するよう注意書きあり。
価格・在庫を見る →組み合わせて使うパーツ・別タイプ
GC-selectBW52用サイドアタッチメントBW52の端部と壁のすき間をふさぐ専用パーツ。必要数と取り付け方向は商品ページで確認を。
GC-selectアイリス止水板 内カーブ内側へ曲がる角を囲うカーブ型。ストレートと組み合わせてL字・コの字に配置できる。
GC-selectアイリス止水板 外カーブ建物の角を外側から回り込む外カーブ型。ストレートとの連結で建物の角まで切れ目なく囲える。
楽天市場備えあれ板 コーナー備えあれ板と組み合わせて出入口や建物の角をカバー。出隅120°・入隅135°まで対応(販売店表記)。
楽天市場UACJ 水用心 MZTR001アルミ止水板を手がけるUACJの脱着式モデル。対応する開口幅と取り付け方法は商品ページで確認を。置くだけタイプに共通する注意
備えあれ板の販売ページには「津波・高潮発生時には設置しない」「風が強いときは重しやロープで建物に固定する」と明記されています。置くだけタイプはどれも、風雨が強まる前に設置を終えておくのが原則です。
04土のう・吸水土のうの必要数を計算する
止水板のすき間、勝手口、排水口まわりは土のうの出番です。京都大学防災研究所の実験では、高さ300mmまで土のうを積む作業に1人で約6分半、2人で約3分半かかりました。単位高さあたりでは、樹脂製止水板の約11倍の時間。土のうは前日までに作り、積む位置の近くに置いておく道具だと考えてください。
計算例:幅2.7mの通用口を高さ約30cm(3段)でふさぐ
- 1段目
- 2.7m ÷ 0.4m = 6.75 → 7袋
- 2段目・3段目
- 6袋・5袋(上に行くほど1袋ずつ減らすピラミッド積み)
- 合計
- 18袋 + 予備2割 → 約22袋
- 重さ
- 18kg × 22袋 = 約400kg。2人で運ぶなら1人あたり約200kg分の往復
600枚入りの土のう袋なら、この規模の入口で約27か所分。詰める土や砂の調達と保管場所も、袋と同時に決めておきます。自治体が土のうステーションを設けている地域もあるので、所在地の役所のページを一度確認しておくと安心です。
普通の土のう・吸水土のう・大型土のうの違い
| 項目 | 普通の土のう袋 | 吸水土のう | 大型土のう |
|---|---|---|---|
| 準備 | 土・砂とスコップが必要。1袋2〜3分 | 水に約3分浸けると膨らむ | 重機・クレーンで吊って据える |
| 未使用時 | 袋は軽いが、作り置きは重い | 薄く軽い(1枚約400gの製品例) | 袋は軽いが、充填後はトン単位 |
| 向く場所 | 入口・勝手口・止水板のすき間 | すぐ使いたい屋内・排水口まわり | 資材置場・敷地境界の仮設 |
| 注意点 | 土の確保と保管場所 | 「真水用」「海水不可」の製品がある | 人力では動かせない |
| 該当商品 |
準備時間・未使用時の重さは、日本建設機械施工協会『建設機械施工』2021年9月号の吸水性土のうの解説記事による。
GC-select土のう袋 20枚入 30袋セット(計600枚)
計600枚
20枚入×30袋で計600枚。入口1か所22袋の計算なら約27か所分になる。
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GC-select吸水土のう 水ピタN型 真水用
真水用
水に浸けて膨らませる吸水土のう。真水用のため、海水や高潮には向かない。
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楽天市場丸和ケミカル 土No袋 箱型水槽付20枚セット(722T20)
吸水後 約300×500×200mm
土No袋(箱型)20枚に、膨らませる専用水槽と脱水剤をセット。吸水後約23kg、海水では使えない(販売店表記)。
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GC-selectどの太朗 土のう作り Φ306×470mm
Φ306×470mm
土のう作りの作業を補助する器具(Φ306×470mm)。使い方の詳細は商品ページで確認を。
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GC-select土のう袋 10枚入×60袋10枚入×60袋。拠点やフロアごとに小分けして配りやすい構成。
GC-selectデラックス土のう KS-3620×480mmの土のう袋50枚入り。耐候年数などの仕様は商品ページで確認を。
GC-select水だけでふくらむ水のう(大)水だけで膨らむ水のう5枚入り。勝手口や止水板の端など、小さなすき間の手当てに。
GC-select耐候性ジャンボ土のう 黒1100×1100mmの耐候性大型土のう(黒)10枚。2t・3年の表記で、資材置場や敷地境界の仮設向け。
GC-selectツートンバッグ BOS-20N-3PF商品名に「新基準適合」とある耐候性大型土のう(3年対応)の5袋セット。重機での吊り上げ・据え付けが前提。大型土のうは「重機がある現場」向け
ジャンボ土のうやツートンバッグは、詰めると1袋がトン単位になります。人の手では動かせないため、重機を持つ建設会社や資材置場向けの資材です。事務所や店舗の入口には、普通の土のうか吸水土のうを選んでください。
05警戒レベル別・社内タイムライン(2026年5月からの新しい防災気象情報)
気象庁は2026年5月29日から、河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮に関する情報を、5段階の警戒レベルに合わせた名称へ改めました。これまでの大雨警報は「レベル3大雨警報」になり、レベル4相当として「危険警報」が新設されています。
社内マニュアルの行動基準も、この新しい名称で書き直しておくのが近道。誰が読んでも同じタイミングで動けるようになります。
| タイミング | 気象情報の例 | 社内でやること | 使うグッズ |
|---|---|---|---|
| 2〜3日前 | 台風情報・早期注意情報 | 担当者と連絡網の確認。止水板・土のうの数量点検、蓄電池の満充電 | |
| 前日〜半日前 | レベル2 大雨注意報など | 屋外資材の固定とシート養生、排水溝の清掃、土のうを入口の近くへ | |
| 数時間前 | レベル3 大雨警報など(高齢者等避難の目安) | 止水板の設置を完了。1階の書類・PC・在庫を上げ、帰宅の判断を出す | |
| 発表時 | レベル4 大雨危険警報など(避難指示の目安) | 全員避難。建物の上層階への退避を含む。設置作業はもう行わない | |
| — | レベル5 特別警報(緊急安全確保の目安) | 災害が発生または切迫。命を守る行動だけに集中する | — |
気象庁は、レベル3やレベル4の情報が出たらキキクル(危険度分布)や河川の水位情報で状況を確かめ、早めに避難するよう呼びかけています。避難先は指定避難場所に限らず、川や崖から離れた近くの頑丈な建物の上層階も選択肢の一つ。
台風前日の30分チェックリスト
- 連絡網と、出社・帰宅判断の担当者を確認した
- 止水板・土のうの数と置き場所を入口ごとに確認した
- 排水溝・グレーチング・雨どいのごみを取り除いた
- 屋外の資材・看板・パレットを固定するか屋内に入れた
- 機械や在庫をシートで養生し、床置きの段ボールを棚へ上げた
- 蓄電池・モバイルバッテリー・無線機を満充電にした
- 重要書類・通帳・印鑑・バックアップ媒体を1つのバッグにまとめた
- 社用車を浸水想定のない場所へ移した
養生と飛散防止に使うシート
前日の作業でいちばん量を使うのがシート類です。ロールは必要な長さで切り出せ、大判は屋根や大型資材の被覆に向きます。厚みの規格は#3000のほうが#2000より厚手。屋外で数日以上かける場所には#3000を選ぶと破れにくくなります。
| 製品 | 規格 | 使いどころ |
|---|---|---|
ブルーシートロール 1800mm | 1800mm×100m・#3000 | 機械・資材の養生をまとめて。必要な長さで切る |
ブルーシートロール 900mm | 900mm×100m・#3000 | 扉の下・巾木まわりなど細長い部分 |
ブルーシート 10m×10m #3000 | 10m×10m・#3000・2枚 | 屋根・大型資材の被覆 |
ブルーシート 10m×10m #2000 | 10m×10m・#2000・2枚入り | 短期間の養生・仮置き資材のカバー |
GENTI サンラップシート SS | SSサイズ | 用途と寸法は商品ページで確認 |
GC-selectブルーシートロール 1800mm×100m #3000
1800mm×100m
必要な長さで切り出せる100m巻き。屋外資材や機械の養生にまとめて使える。
価格・在庫を見る →
GC-selectブルーシート 10m×10m #3000 2枚
10m×10m/2枚
大判2枚。屋根や大型資材の被覆に。#3000は#2000より厚手の規格。
価格・在庫を見る →06停電対策:ポータブル蓄電池は「何を何時間」で容量を決める
浸水しなくても、台風による停電は起こります。蓄電池は機種名から選ぶのではなく、止めたくない機器の消費電力から逆算するのが確実な方法です。
必要な容量の出し方
必要容量(Wh)≒ 消費電力(W)× 使う時間(h)÷ 0.8
0.8はインバーターなどの変換ロスを見込んだ安全側の係数(編集部の目安)
| 機器 | 消費電力 × 台数 × 時間 | 電力量 |
|---|---|---|
| ノートPC | 50W × 3台 × 8時間 | 1,200Wh |
| Wi-Fiルーター・回線終端装置 | 15W × 12時間 | 180Wh |
| LEDスタンド照明 | 10W × 2台 × 6時間 | 120Wh |
| スマートフォンの充電 | 1台15Wh × 10台 | 150Wh |
| 合計 | 1,650Wh ÷ 0.8 | 約2,060Wh |
必要量は約2,060Wh。容量2,304WhのAC200PLなら1台で収まり、拡張バッテリーB210P(2,150Wh)を足せば翌日分まで見込めます。電気ポットや電子レンジのように熱を出す家電は消費電力が一桁違うため、使うなら別枠で計算しておいてください。
蓄電池8機種の容量比較
| 製品 | 容量 | 特徴 | 向く使い方 |
|---|---|---|---|
AC2P | 230.4Wh | 小型・定格300W | スマホ・無線機・ライトの充電 |
AC70P | 864Wh | 定格1,000W | 受付・小規模事務所のPC数台 |
AC240P | 1,843Wh | IP65の防塵防水・約33kg | 屋外や湿気の多い現場での据え置き |
AC200PL | 2,304Wh | 拡張バッテリーで増設可 | 事務所の業務継続の中核 |
拡張バッテリー B80P | 806Wh | 拡張用(対応本体は要確認) | 既存機の容量の上乗せ |
拡張バッテリー B210P | 2,150Wh | AC240P・AC200PLの増設用 | 長時間の停電への備え |
タメルラボ TL-1000NE | 1kWh級 | キャリー型(TL-1000Nは1,036Wh・9.5kg) | 拠点間を持ち運ぶ予備電源 |
タメルラボ TL-2000NE | 2kWh級 | キャリー型(TL-2000Nは2,072Wh・16kg) | 避難先・別フロアへの移動を前提にした電源 |
GC-selectポータブル蓄電池 AC200PL
2,304Wh
容量2,304Wh。拡張バッテリーB210Pで増設でき、事務所の業務継続の中核に据えやすい。
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GC-selectポータブル蓄電池 AC240P
1,843Wh/約33kg
IP65の防塵防水仕様で容量1,843Wh、定格2,000W(国内販売店表記)。重さ約33kgの据え置き型。
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GC-selectタメルラボ TL-2000NE ポータブル蓄電池
2kWh級
同シリーズのTL-2000Nは2,072Wh・16kg・定格2,000W(メーカー公表)。NE型の仕様は商品ページで確認を。
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GC-select拡張バッテリー B210P2,150Whの拡張バッテリー。AC240P・AC200PLの容量を後から増やせる。
GC-selectAC70P容量864Wh・定格1,000W(メーカー公表)。受付や小規模事務所のPC数台をまかなうクラス。
GC-selectAC2P容量230.4Wh・定格300W(メーカー公表)。スマホや無線機、LEDライトの充電用に各フロア1台。
GC-select拡張バッテリー B80P806Whの拡張バッテリー。接続できる本体は商品ページで確認を。
GC-selectタメルラボ TL-1000NE自治体・企業への導入実績が多いタメルラボのキャリー型。同シリーズのTL-1000Nは1,036Wh・9.5kg(メーカー公表)。「防水」の蓄電池でも水没はNG
IP65は「粉じんが入らない」「あらゆる方向からの噴流水に耐える」という保護等級で、水に沈めても使えるという意味ではありません。蓄電池は浸水しない上階に保管し、ぬれた床の上や浸水した室内では使わないこと。感電の危険があります。
07従業員と重要書類を守る:防災セット・持ち出しバッグ・トイレ
豪雨で道路が冠水すると、従業員が帰れなくなる事態も起こります。東京都の帰宅困難者対策条例は、事業者に従業員3日分の水・食料などの備蓄を求めています(努力義務)。都外の事業所でも、「人数×3日」はそのまま使える基準です。
事業所全体の備えには、人数単位でまとまった防災セットが便利。個人の持ち出し用は、浸水時に中身がぬれない防水タイプを選びます。重要書類は散らばった状態だと持ち出しに時間がかかるため、耐火・防水バッグに平時からまとめておくのが要点です。
GC-selectシェアする防災セット ベーシック30人分 マグネットLサイズ
30人分
30人分をひとまとめにした事業所向けの防災セット(マグネット仕様Lサイズ)。内容物は商品ページで確認を。
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GC-select防水deリュック30点 防災用セット
30点
防水リュックに30点を収めた個人用の防災セット。浸水時に中身をぬらさないことを優先した構成。
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楽天市場エーコー 耐火・防水プロテクターバック シリンダ式 2017
型番2017
通帳・印鑑・契約書・バックアップ媒体を1か所にまとめる耐火・防水バッグ(シリンダ錠)。
価格・在庫を見る →
GC-selectシェアする防災セット 10人分(L)10人分のセット(マグネット仕様Lサイズ)。
GC-selectシェアする防災セット 10人分(M)10人分のセット(マグネット仕様Mサイズ)。
GC-select防水deリュック 25点防水リュックに25点を収めた個人用セット。
GC-select防水deリュック 15点防水リュックに15点を収めた個人用セット。
GC-select防水ドライバッグ 17点 20L防水ドライバッグに17点を収めた非常用セット(20L)。
楽天市場耐火・防水プロテクターバック 2013同シリーズの2013。収納サイズの違いは商品ページで比べて選べる。浸水時はトイレが使えなくなる
豪雨のときは下水管が満水になり、トイレや風呂場、洗濯機の排水口から下水が逆流することがあります(北九州市上下水道局)。応急処置は、ビニール袋を二重にして水を半分ほど入れた「水のう」を、便器や排水口の上に置く方法(熊本県八代市の案内)。ただし便器をふさいでいる間、そのトイレは使えません。
そこで必要になるのが簡易トイレです。必要数は1人1日5回前後×人数×日数で見積もるのが一般的で、30人が3日とどまるなら約450回分になります。
簡易トイレの一覧を見る断水・下水の逆流に備えて、人数分をGC-selectで確認姉妹サイト災害用トイレの選び方と備蓄目安(熱中症対策ナビ)災害用トイレの選び方と、備蓄の目安をまとめています備蓄品の置き場所に困っている場合は、作業用品ナビの災害備蓄ラックの選び方も参考にしてください。
08水が引いた後の作業装備と、水上用品の使いどころ
浸水後の片付けは、泥・ガラス片・釘・汚水が相手の重作業です。足元と体を守る装備から順にそろえます。
足元:先芯入り長靴と防災ウェーダー
長靴・ウェーダーは「片付け用」。避難には使わない
浸水した道を歩いて避難するとき、長靴は厳禁とされています。中に水が入ると重くなり、動けなくなるためです。避難にはひもで締められる運動靴を(札幌市の防災ガイド)。ウェーダーも同じ理由で、流れのある水や腰より深い水には入らないでください。
床の泥水を寄せるゴムブラシ
水辺の作業には救命胴衣を
河川や水路の近くで排水ポンプを据える、土のうを運ぶといった水防作業では、救命胴衣を着けて臨みます。自動膨張式は落水を検知して膨らむタイプで、作業の邪魔になりにくいのが利点です。
GC-select水防作業・河川近くの作業用
膨張式救命胴衣 NQV-Atn型 赤
浮力 約11.1kg
国交省型式承認のTYPE A・作業用救命衣(販売店表記)。自動膨張式で浮力約11.1kg。河川や水路近くの水防作業に。
GC-selectで価格・在庫を見る →
GC-selectNS-5000/7000用 替ボンベ型番どおりNS-5000/7000用の交換ボンベ。NQV-Atn型の交換ボンベは別型番(販売店表記)なので混同に注意。POINT交換ボンベは型番で選ぶ
膨張式救命胴衣のボンベは、本体の型番ごとに適合品が決まっています。NS-5000/7000用の替ボンベは、NQV-Atn型には使えません(NQV-Atn型の交換用は別型番と販売店に記載)。使用後や点検時期が来たら、本体の取扱説明書で適合型番を確認してから注文してください。
ゴムボート・オール・船外機用カートについて
3人用のゴムボートやアルミオールは、本来は水上レジャー用品です。周囲が冠水して孤立しやすい立地では、物資を運ぶ補助として備える事業所もあります。ただし、流れのある浸水域や夜間は使わないこと。乗る人全員が救命胴衣を着けること。人の救助は119番と消防の判断に任せること。この3点を守れない運用なら、備えないほうが安全です。
GC-selectゴムボート 3人用空気で膨らませる3人用ゴムボート。本来は水上レジャー用品で、災害時は静かな水域での物資運搬の補助にとどめる。
GC-selectゴムボート 釣竿置き付き釣竿置き付きの3人用。平時のレジャーと兼用する前提のモデル。
GC-select2way アルミオールボートと組み合わせて使う2wayのアルミオール。
GC-select船外機用カート船外機を運ぶための折り畳みカート(耐荷重100kg)。09事業所タイプ別・最初にそろえるセット例と補助制度
ここまでの内容を、規模別のスタートセットにまとめました。数量は第4章までの計算で、入口ごとに調整してください。
A. 小規模店舗・事務所
入口1〜2か所/10名前後
B. 工場・倉庫
シャッター・大開口/30名前後
C. 建設会社・資材置場
現場事務所・敷地境界
止水板の助成と、防災設備の税制
止水板の購入費や設置費を補助する自治体があります。メーカーの案内では、西宮市・吹田市・大田区・古河市・大分市などで制度が確認されています(2026年6月1日時点)。多くは購入・設置前の申請が条件なので、発注の前に所在地の自治体へ確認を。
中小企業なら「中小企業防災・減災投資促進税制」も候補になります。事業継続力強化計画の認定を受け、認定から1年以内に計画に記載した防災・減災設備を取得すると、取得価額の16%を特別償却できる制度。認定の対象期間は2027年3月31日までです(中小企業庁の実施要領)。対象設備と金額の要件は細かく決まっているので、顧問税理士と一緒に確認してください。
Q&Aよくある質問
Q1会社で最初に買うなら、止水板と土のうのどちらですか?
A守る入口が決まっているなら止水板です。京都大学防災研究所の実験では、土のうは樹脂製止水板と比べて単位高さあたり約11倍の設置時間がかかりました。土のうは止水板のすき間や勝手口用に少量を併用する、という組み合わせが現実的です。
Q2止水板の高さは何cmを選べばいいですか?
Aハザードマップの想定浸水深が基準になります。今回比較した工事不要タイプで最も高い公表値は、ボックスウォールBW52の堰き止め高50cm。想定が50cmを超える場合は止水板を時間稼ぎと割り切り、重要品を上階へ移す計画を優先してください。
Q3土のうは何袋用意すればいいですか?
A入口幅を袋1つの長さで割って1段目の数を出し、上の段ほど1袋ずつ減らして合計し、2割の予備を足します。幅2.7m・高さ約30cm(3段)なら約22袋が目安です。
Q4吸水土のうは高潮や海水でも使えますか?
A製品によって異なります。水ピタN型は真水用、土No袋は海水では使用できないと表記されています。沿岸部の事業所は普通の土のうと止水板を基本にしてください。備えあれ板のように、津波・高潮時の設置をしないよう注意書きのある製品もあります。
Q5ポータブル蓄電池は水にぬれても使えますか?
AIP65のAC240Pでも、保護されるのは粉じんと噴流水までで、水没には耐えられません。浸水しない上階に保管し、ぬれた床の上や浸水した部屋では使わないでください。
Q62026年に気象警報の名前が変わったと聞きました。社内マニュアルはどう直せばいいですか?
A2026年5月29日から、大雨警報は「レベル3大雨警報」に変わり、レベル4相当の「危険警報」が新設されました。社内の行動基準を「レベル3で止水完了と重要品の移動」「レベル4で全員避難」のように、レベルの数字で書き直すと判断に迷いません。
✓まとめ:台風前日に慌てないための4ステップ
企業の水害対策は、入口を止める道具だけでは完結しません。浸水を遅らせている間に人と重要品を上げ、停電やトイレの不便をしのぎ、水が引いたら片付けに移る。この流れのどこかが欠けると、そこで事業が止まります。
- 1ハザードマップで想定浸水深を調べ、入口の幅と地面を測る
- 2止水板は「入口幅÷有効幅」、土のうは「段ごとの袋数+予備2割」で数量を出す
- 3「レベル3警報で止水完了と重要品の移動、レベル4危険警報で全員避難」を社内ルールにする
- 4停電・トイレ・従業員3日分の備えと、片付けの装備までそろえる
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ご利用にあたって
本記事の数値はメーカー・販売店・公的機関の公表情報(2026年10月時点)にもとづく目安です。価格・在庫・仕様の最新情報は各商品ページで確認してください。止水板や土のうは浸水を完全に防ぐものではありません。避難の判断は、自治体の避難情報と気象庁の防災気象情報に従ってください。けが人が出た場合や命に危険がある場合は、ためらわず119番へ。
参考にした公的資料・メーカー情報
- ・気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年〜)」
- ・東京都都市整備局「止水板設置事例集」(2026年7月)
- ・国土交通省「地下空間における浸水対策ガイドライン」資料(避難行動の限界条件)
- ・京都大学防災研究所年報 第59号B「止水装置の止水性能に関する検討」
- ・日本建設機械施工協会『建設機械施工』2021年9月号「吸水性土のう」
- ・国土交通省 ハザードマップポータルサイト
- ・北九州市上下水道局「家庭での下水の逆流を防ぎましょう」
- ・八代市「水のう」の使い方(PDF)
- ・札幌市 防災ガイド(風水害編)
- ・福井市 洪水ハザードマップ(浸水深と車の走行)
- ・西尾市 ため池ハザードマップ(浸水深と徒歩避難)
- ・中小企業庁「中小企業防災・減災投資促進税制」実施要領
- ・アイリスオーヤマ 止水板 製品情報
- ・ガデリウス 簡易設置型止水板『ボックスウォール』
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